1.インサイトサマリ
Overture LLC.では、他企業の発表している資料および、独自でのインタビュー(就職活動中の学生計5名)を実施し、大企業に対して、従来の一括採用に加えて、ダイレクトリクルーティングでの採用活動実施の重要性について、示唆を導出した。
※大企業は従業員1,000人以上の企業を指すものとする
インサイトとして以下が挙げられる。
(1)従来の一括採用の母集団はインターンシップおよび、ダイレクトリクルーティングサービスの台頭により変容する可能性がある。
(2)大企業において早期の優秀層学生の採用手段として、ダイレクトリクルーティングは有効であり(1)を見据え対策が必要である。
2.就職活動市場におけるダイレクトリクルーティングの動向
『就職白書2024』(就職みらい研究所発行)によると、2025年卒の採用方法・形態の予定では34%の企業がスカウト・オファー型の採用を実施すると回答し、2024年卒比+3.5%の増加傾向となっている。また、2025卒学生よりインターンシップから採用への直結が認められた中で、そのインターンシップからの採用に次ぐ拡大傾向(+3.5%)である。(図1)

さらに、従業員規模1,000人~4,999人および5,000人以上で比較すると、1,000~4,999人の企業では2025卒で42.3%(前年比+3.4%)、5,000人以上の企業では2025卒で51.2%(前年度比+6.2%)がスカウト・オファー型の採用を実施すると回答している。(図2)つまり、全体より従業員規模1,000人以上の企業の方がスカウト・オファー型の採用に積極的に取り組む傾向であるといえる。

また、ダイレクトリクルーティングサービスの代表サービスである「OfferBox」(株式会社i-plug提供)では、2024卒の245,000人(民間企業希望者数約45万人に対して約54%)が登録しており、年々増加傾向である。(図3)

したがって、ダイレクトリクルーティングの利用は、採用活動を行う企業サイドから見ても、ダイレクトリクルーティングサービスを提供する企業サイドから見ても、増加傾向であるといえる。
3.調査概要および結果
「新卒採用市場のダイレクトリクルーティングの動向調査」(以下、本調査)では、2024年9月の時点で就職活動を実施している学生5名にインタビューを実施した。(表1)
項目 | 内容 |
人数 | 5人 |
属性 | 関関同立:1名 MARCH:4名 |
インタビューの結果、ダイレクトリクルーティングのサービスの登録率は60%であり、その100%がオファー企業とのやり取りをしていると回答している。一方で、学生サイドはイベント等の情報収集を目的にしているケースが多く、ダイレクトリクルーティングサービスのオファーから採用につながるケースは確認できていない。(表2)
質問内容 | 結果 | 詳細 |
ダイレクトリクルーティングサービスを登録しているか | 登録率:60% | 活用している:3名(関関同立、MARCH) 活用していない:2名(MARCH) |
企業とやり取りしているか | やり取りしている:100% | やり取りはしているが話しを聞く、インターンシップに参加するレベルで選考にはつなげていない |
やり取りした企業はどのような企業か | 大企業 中小企業 | 大企業からのオファーは少なく、中小企業は多数 |
インタビュー結果より、大企業からのオファーは現状では少ない状態ではあるものの、採用に積極的な企業はオファーをし始めていると想定できる。また、主なプレーヤーは中小企業であり、一括採用で枠を埋められない企業が活用する傾向であると想定できる。
4.インサイト
前述のとおり、市場動向、学生動向の調査より、ダイレクトリクルーティングサービスの利用は活発化している状況であるといえる。加えて、今後の動向に関して洞察は以下である。
ダイレクトリクルーティングサービスでの特徴として、一般的に採用枠の確保、優秀層の確保が可能であると言われているため、それぞれをダイレクトリクルーティングサービスの前提とする。
市場の動向より、今後もダイレクトリクルーティングサービスの利用企業が増加していく場合、優秀層の学生は一括採用のタイミング外で採用されることが増加すると考えられる。また、2025卒より、インターンシップから採用へ直結することが認められたことにより、ダイレクトリクルーティングサービスと同様に、優秀層の学生は早期に採用される数が増加すると考えられる。
したがって、今後の動向として、従来の一括採用で採用していた優秀層の学生はダイレクトリクルーティングおよびインターンシップでの早期採用が増加することが想定される。インターンシップに関しては、その運営に企業の人的リソースの投入が必要であるため、急激な増加を見込むことはできない。そのため、ダイレクトリクルーティングサービスを活用することにより、早期採用の枠拡大を図ることが重要であり、早期での優秀層獲得の対策を実施しない企業は、一括採用で採用可能な優秀層を他社に確保され、相対的に採用の質が低下していくことが想定される。
5.まとめ
本調査結果より以下が分析できる。
・企業としてはダイレクトリクルーティングでの採用は強化する傾向である
・学生としてはダイレクトリクルーティングサービスを活用している
・大手企業は市場のデータとしてはダイレクトリクルーティングでの採用を拡大を図っているものの、学生へのインタビュー結果からは、実際にオファーのある大企業は限定的である
・ダイレクトリクルーティングサービスの場合、通常では一括採用に応募してこない優秀層にも接点を持つことが可能であるため、優秀層の獲得拡大が期待できる
分析結果より以下が洞察できる。
優秀層の獲得を目的にする場合、ダイレクトリクルーティングでの採用は有効であると結論づけられる。一方で、現状では市場の黎明期であるため、大企業でのダイレクトリクルーティングからの採用事例は少ないと想定される。しかし、インターンシップの増加等により、従来、一般採用として確保していた優秀層が、インターンシップからの採用で早期に内定獲得をしていくことが想定されるため、従来の母集団形成の方法には変容が必要であり、如何に早期に優秀層との接点を確保することが求められる。